2013年3月31日日曜日

旅のちから、矢野顕子

アーティスト矢野顕子自身が所有するピアノのルーツを探る旅番組があった、ニューヨークのスタジオに所有するピアノはスタインウェイ

世界の3代ピアノメーカーといわれるのがスタインウェイ(米国、ドイツ)、ベーゼルドルファー(オーストリア)、ヘビシュタイン(ドイツ)

とりわけスタインウェイってよく耳にする、著名なコンサートホールなどには必ず置いてあるピアノだ、今回はこのスタインウェイのルーツをたどると言う旅物語

矢野顕子の所有するスタインウェイは1965年製ドイツハンブルグ製造ということがシリアルナンバーでわかる。スタインウェイはドイツ生まれ、もともと炭焼き職人の家系に生まれたそうだ。

ピアノ工房を作るがドイツからアメリカに移住、1853年スタインウェイ・ニューヨークを立ち上げる、ドイツでも評判だったようだが、アメリカでも移民の多いヨーロッパの雰囲気を持つピアノは評判になりスタインウェイの息子とともに今のピアノの基礎を築いたそうだ。

室内楽が多いヨーロッパに対してアメリカではホールなど大きなところが多くそれに応じた音量、音色を加え、さらにはあの大きなピアノであるが好みに応じていろいろ調整できるようにしたりとかいろいろ改良を加えたらしい。

1880年にはドイツにもハンブルグに工場を作り、今はニューヨーク・スタインウェイとハンブルグ・スタインウェイがあるそうだ。矢野顕子のはハンブルグ製、旅はハンブルグの工場見学となる。

スタインウェイは8割が手工なんだそうだ、一台作るのに1年掛かる、そしてやはり重要なのが木材、響板と呼ばれるピアノに重要な板はスプルース、ギターのトップ材と同じだ、ハンブルグといえど使っている板は北米産スプルース、たぶんドイツではもう採れないんだろう、

この番組を見ていて似てるなーって思ったのがアコースティックギターの雄C.F.マーチンだ、同じドイツ生まれ、アメリカに移住、1833年ニューヨークに工房を構える。マーチンも同じようにアメリカの風に吹かれてより大きな音、クリアーな音が求められトレッドノートという大型のアコースティックギターが誕生する。

ギターのトップ板もスプルースだ、このブログでもたびたび登場するがどんな板を使うかで全然変わってくる。裏を返せばすごい腕を持っていても元がよくなければいい音は難しいことが多い、(そうとも言えないんだが)

ちなみに今所有するマーチン、OM-18Vはトップ板はシトカスプルースという一般的によく使われるスプルース板、ちょっと赤みがかっている。

D-18GEはグレードが上がってアディロンダックスプルース、アメリカのアディロンダック地方にしかないというスプルースでこちらはちょっと黄色っぽい、年輪幅がちょっと広いのも特徴かな、これになると一気にグレードが上がってゴージャス、音量があってクリアー、シトカとは随分違う、

そしてDoobie42、これにはイングルマンスプルースという北米のスプルース、ホワイトスプルースとも呼ばれ白っぽい、スタインウェイの北米産スプルースもたぶんこれじゃないか、こちらはシトカより音色が甘く響くようだ。

余談だがDoobie42、このギターをケースから出すと何故か蜂蜜みたいな甘い香りがする、何故なんだろう?

ギターの場合このトップ材ともう一つ重要なのがサイド&バック材なんだが、面白いことにこちらは熱帯産のローズウッド、マホガニー、いまや伝説のハカランダ(ブラジリアンローズウッド)などが使われる。

寒い地域のトップ材と暖かい地域のバック材というコラボレーションが通例となっている。(寒い地域のメイプル(楓)を使うこともおおいけど) 

番組は当時ピアノ材を切り出したというスプルースの森を訪れる、スタインウェイは元炭焼き職人の家系、木を見極める目がとてもよかったんだそうだ、又当時は樹齢の長い大きな木がいっぱいあったらしい、伐採は木が眠る冬場に伐採していたそうだ、(冬は木も眠って水分が少なく乾燥してるからだそうだ)

最後にスタインウェイ工場の最後の砦、最終調整室へ、ここで腕利き職人が最終調整を行う。ここで多分矢野顕子のピアノに何らかの形でかかわっただろう職人に出会う。

矢野顕子って人面白い人だ、御歳58歳なんだそうだが、発想がとっても面白くて子供の心をそのまま維持している感じだなー、 

ところでピアノシェアーといえばなんといってもヤマハ、日本では70~%はヤマハなんだそうだ、今や三代メーカーの一つベーゼルドルファーはヤマハの傘下なんだそうだ、次にカワイ、ここもスタインウェイの中価格帯ブランドボストンのはカワイが作ってるそうだ。

ヤマハは今までの手工業と違ってオートメーション化を進めてシェアーを圧倒した、スタインウェイは8割は手工業だという、

番組の最後は矢野顕子がピアノを買ったときはこれください、ってぽんと買ったけど、実は多くの年月と人手の結晶だったんだーってことに気づかされたと、さらには木が生えて大きくなるの入れるともっともっと長い年月を経て今の音があるんだなーってことになると結んでいた、

我が家のマーチンも長い旅を経てここに来たのかなー、心して弾きたいものだ


0 件のコメント:

コメントを投稿

Ibanez  AE325-LGS